旧三井寺ポンプ所及び変電所(登録有形文化財)
筑後川下流域の左岸、久留米市三潴町高三潴の長閑な田園風景の中に建つ煉瓦造のこの建物は筑後川から水を「三潴村耕地整理地区」の広い範囲に供給するため大正3年(1914)建設された建物に代わって昭和8年(1933)に再建されたポンプ所と変電所である。
建物は煉瓦造・平屋建、桟瓦葺の棟高が違う3棟がT字型につながっている。最も棟が高い東西棟には高位部用の200馬力と120馬力のポンプ2機が設置されていた。これが高位部用のポンプ所である。ここから建物東側に設置された用水溝に取水され、標高が高い地区に配水された。煉瓦が2枚積みで東側を寄棟造としている。
次に棟が高い南北棟の建物は煉瓦2枚積み切妻造の変電所で南妻壁に3箇所の円形の開口部が残る。ここから電線が引き込まれ、この揚水場の電力を賄っていた。
最も規模が小さい南北棟は低位部用の10馬力のポンプ1機が設置されていた。この建物は煉瓦1.5枚積みで北側を寄棟造とし、北西角を隅切して変化ある外観となっている。ここが低位部のポンプ所である。
高位部ポンプ所は120.18㎡、低位部ポンプ所41.12㎡、変電所61.39㎡あり、合計すると222.69㎡の建物である。それぞれの建物の棟木下端までの高さはコンクリート土間から高位部ポンプ所21.4尺、変電所20.4尺、低位部ポンプ所15.4尺ある大規模な煉瓦造の建物である。
建設時の契約書などが残されており、建築は地元業者であることが分かる。また、セメント及鉄筋、煉瓦、瓦及び鬼瓦は現物支給しており、城島の瓦、荒木の煉瓦など当時域の材料を用い、地元の職人によって造られた煉瓦造建築である。
当建築は田園地帯に建設されており、西側から望める姿は美しく、人々の記憶の中に地域の象徴的な景観としてあり、何ものにも替えがたい物である。
地域の材料と地域の職人によって作られた大規模な煉瓦造としても素晴らしいが、地域の主産業である農業と密接に関わり、地域の産業史を今日も伝える貴重な歴史遺産である。
※展示揚水機
型式/旧設置機名 | ①三井寺揚水機 | ②安武揚水機 | ③江上線揚水機 |
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設置年度 | 昭和29年度 | 昭和32年度 | 昭和35年度 |
型式 | 渦巻 | 渦巻 | 斜流 |
馬力 | 250hp | 330hp | 200hp |
口径 | 900mm | 900mm | 1300mm |
実揚程 | 6.670m | 10.532m | 2.555m |
全揚程 | 7.300m | 11.083m | 2.555m |
揚水量 | 1.750㎥ | 1.5105㎥ | 3.475㎥ |
吸水敷高 | -1.49m | -0.57m | 0.05m |
吐水敷高 | 8.94m | 10.87m | 1.76m |
モーター | 日立 | 日立 | 明電舎 |
ポンプ | 荏原 | 日立 | 荏原 |
上記3台の他、八ノ江揚水機場・今村揚水機場にあったポンプを展示中
※受電施設一式
住所 | 福岡県久留米市三潴町高三潴1101-7 |
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建屋 | 昭和8年度完成 煉瓦造瓦葺平屋建 243.29㎡ |
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